2010年3月 8日 (月)
会社の同僚に毎日ペンシルベニア州から通勤して来ている人がいます。自宅から会社までdoor to doorで2時間。東京だったら珍しくないかもしれませんが、アメリカではきわめて長い通勤時間と言ってよいでしょう。
彼によれば、「電車の中でパソコンを打ったりするので、通勤時間がほとんど仕事時間になっている」とのことで、毎日の往復4時間をそんなに苦にしている様子でもありません。
ただ、週の後半になってくるとさすがにバテてくるようで、「朝5時半に起きると、ベッドの端に座ってじっと何分かうつむいて、その後エイヤッと立ち上がるんだ」と話していました。その気持、わかりますね。私も木曜、金曜になってくると、朝同じようなことをしていますから。
同僚のその話を聞いて思い出したのが、英語のget up on the wrong side of the bed という熟語です。「いつも決めているのと違う側から起き上がると気色が悪い」ということから、「ご機嫌斜めだ」という意味なのだそうです。
面白い言い方だと思って記憶していたのですが、アメリカ人が本当に使うかどうかは確かめたことがありません。日本での学生時代に覚えた熟語をアメリカで使ったら、アメリカ人に「そんな言い方は初めて聞いた」と言われたことは何回もありますから。
ただし、私は熟語や文法をちゃんと勉強しないまま、最初から実用的、口語的言い回しばかりを始める一部の語学教育には反発しているのですが。
2010年2月26日 (金)

時々深夜、民謡のCDに耳を傾けることがあります。東日本編・西日本編の2枚組ですが、圧倒的に東の曲が良いですね。
特に好きなのが『秋田おばこ』で、今は故人になった長谷川久子さんの自在な歌いぶりに惹かれます。聴くたびに、これだけの節回しを身に付けるまでには、どれだけの努力があったのだろうと思います。
最近、この『秋田おばこ』に関して面白い発見をしました。友人が昭和初期に吹き込まれたという、この歌の録音を聞かせてくれたのです。それは、現在の華麗で複雑な節回しとはまったくと言っていいくらい違う、素朴なメロディーでした。
それを聞きながら、この曲がここまで洗練されるまでには、記録に残っていない無数の人たちの、真剣な試行錯誤があったのだろうということを思いました。
職場で先輩の残した旧い書類を眺めていて、「どうしてこんな妙な取り決めを結んだりしていたのだろう」などと、不思議に思うことがあります。でもそれは、その時その時でベストの選択だったのでしょう。そしてそれらがあって今があるのだと思います。
『おばこ』の古い録音のことから、妙な感想になってしまいました。
2010年2月25日 (木)
制作・山本です。こんにちは。
放送直前のお知らせです!
インタビュー番組「情熱トークUSA」、今日放送です。
今回は、スポーツビジネスエージェントの白井孝明さんを
ゲストに迎えお送りします。
ところで、「スポーツビジネス」、
「スポーツビジネスエージェント」って何?
スポーツであろうが基本、ビジネスです!
ただ、アメリカでは、日本のスポーツが企業がチームやリーグを
抱える経営スタイルとは異なり、スポーツを熟知した先鋭の
個人又は会社に運営がほぼ任されているんです。
アメリカではスポーツビジネスエージェントの活躍が映画にも
なっていますよ(トム・クルーズ主演「Jerry Mcguire」96年)。
それだけ、スポーツビジネスはアメリカでは当たり前なんですね。
そこで、今回のゲストの白井さんは、アメリカのスポーツビジネスの中で
働く数少ない日本人の1人。鋭いビジョンを持ち、かつ忍耐力溢れる人です。
内容は、番組を見て下さいね。是非!
「情熱トークUSA 〜スポーツビジネスエージェント 白井孝明〜」
25日(木) 午後10:44(ET) 午後7:44(PT)
2010年2月20日 (土)


厳しい寒さが続きますが、皆様の地域は如何でしょうか。
衛星直接受信でテレビジャパンをご覧の方から、「雪が固まって、パラボラが使えなくなってしまった。お湯で氷を溶かして、再びテレビジャパンが見られるようになった時は、本当に嬉しかった」などというお便りが届くのも、毎年今頃です。
そうしたお声を聞くたび、身の引き締まる気がします。
前にもちょっと書きましたが、気温については、華氏の気温をいつまでも摂氏に「翻訳」していてはだめで、華氏は華氏として受け取らなければだめだと思っています。外国語を読む時と同じことです。
そんな努力が実を結んで(?)、何となく華氏の感覚がつかめてきたような気がします。
華氏に慣れてきたはずなのに、この前中西部の気温表示で0度という数字を見た時は、「そうか(摂氏の)0度か」と一瞬思ってしまいました。華氏がものすごく低い数字になっていると、こうしたことが起きるようです。身に染み付いたものはなかなか変わりませんね。
(写真は摂氏・華氏両用温度計と冬のセントラルパーク)
2010年2月13日 (土)

ケンタッキーにお邪魔した時のことを先日書きました。「旅は3回する」と言いますが、旅に出る前、旅行している間だけでなく、帰ってからも、いや後の方が深く旅をしている感じがします。
ケンタッキーは私にとって、フォスターの名曲『ケンタッキーの我が家』のイメージと切っても切り離せません。実際にその地に立って、そのイメージが裏切られなかったことは、本当に幸福でした。ちなみにこの曲はケンタッキー州の州歌になっているのだそうです。
ところでHPでフォスターの記事を見ていて、面白い発見をしました。彼の作品『金髪のジェニー』の原題は、「Jeannie with the light brown hair」というのだそうです。これを「明るい茶髪のジェニー」と訳していたら、この曲があれほど日本で愛されることはなかったでしょう。原文の意味を踏まえた大胆な意訳ですね。
「昔の人は偉かった」と殊更に言うつもりはありませんが、外国語の訳語を見ていて、特に語源を踏まえた翻訳を知って、「見事だなあ」と思うことはよくあります。この前、シンデレラを「灰かぶり姫」と訳している古い本を見て感心しました。Cinderellaの語源は英語で言えばcinder(消し炭)。「いつもかまどのそばで働いている女性」という元の意味を押さえた上での訳語でした。
ケンタッキーの話から大きく脱線してしまいました。申訳ありません。
2010年2月12日 (金)
日本画家・千住博さんの作品集出版記念サイン会がニューヨーク・マンハッタンのアート専門書店「リゾーリ・ブックストアー」で開催されました。
日本画の魅力を世界に広め数々の賞に輝きながらも、絶えず新しい表現方法を模索し続け、意欲的に活躍している千住さん集大成とも言える作品集が刊行されたのです。
アメリカのアートシーンに衝撃を与え、「ニューヨーク・ギャラリーガイド」の表紙を飾った「フラットウォーター」、東洋人として史上初の受賞を果たしたベネチア・ビエンナーレの「ウォーターフォール」、大徳寺聚光院やフィラデルフィア松風荘の襖絵などの代表作を始め、初期の作品から最近の話題作まで、千住さんのすべてがぎっしりと詰まった画集です。
「情熱トークUSA」にご出演頂いた時と変わらず、溢れんばかりのエネルギーでアートと向き合っている千住さんにお目にかかり、新たな元気と勇気を頂戴しました。
進化し続ける千住ワールドに、心からのエールを送らせて頂きます。
野村美由紀(キャスター)
2010年2月10日 (水)
今日2月10日(水)、NY周辺は朝方から大変な雪となりました。こうした時、我々が最も心配するのは、衛星直接受信でテレビジャパンをご覧になっている方が、アンテナに積もった雪の影響で放送をご覧になりにくくなっているのではないかということです。
幸い、今のところ
受信障害の問い合わせはあまり寄せられません。おそらく皆様、大雪で障害が起きやすくなっていることを、よく承知されていたのだと思われます。
写真はテレビジャパンの入っているビルの屋上アンテナで、ここで日本からの伝送を受信しています。(ちなみに、このように屋上にアンテナを置けるビルはマンハッタンではごく限られています。)
セキュリティのきわめて厳しいダウンタウンでは、屋上に出ること自体、簡単なことではありませんが、テレビジャパンではビルの管理会社と信頼関係を構築して、大雪の時は1日に何回か、アンテナの雪掻きをさせてもらっています。
そして雪掻きの時使うのが、写真ではちょっと見えにくいですが、ほうき。最先端の衛星通信を支えているのが、昔ながらのほうきというところがちょっと面白いでしょう?
この季節、雪に伴う受信トラブルが我々の方でもご家庭の方でも発生しないか、気が休まりません。
2010年2月 5日 (金)
去年の末に突如東海岸を襲った大雪のことを書いた記事の中で、斎藤茂吉(写真)の晩年の歌のことに触れたことがあります。それをお読み下さった何人もの方から「今時、茂吉を読むのか」と珍しがられました。
歳月の力というのは恐ろしいもので、その時どんなに読まれた文でも、時間とともに刻まれた刻印が風化していくのは避けがたいことでしょう。
若い頃愛読した文章を年齢を重ねてから再読して、その浅薄さに愕然としたという経験は、多くの方がお持ちではないかと思います。しかし一方で、深く鋭く刻まれた跡は、時が経ても消えることはないのでしょう。
経済学者の中山伊知郎氏と言っても、もう記憶されている方は少なくなってしまったでしょう。昭和30年代の初め頃、氏が同じく経済学者の東畑精一氏などと文学談義を交わしていて、「今から100年200年経った時、残っている文学者は誰だろうか」という話になったことがあったそうです。中山氏たちの結論は「斎藤茂吉かなあ」ということだったと、どなたかの随筆で読んだことがあります。
なるほど。
中山氏も東畑氏もいずれも当代随一の学者でしたが、今そうした立場にいる方々が集まったとして、その場でこんな書生談義を交わすことがあるのでしょうか。世紀が変わってもう10年。社会の指導層に幅のある方が減ったのは間違いないのかもしれない、という気がします。
2010年1月29日 (金)
去年の秋、この欄で、北海道で開かれる江差追分全国大会のことを書いたことがあります。それを読んでくれた北海道に住む友人が、歴代優勝者の演奏が収録されたCDを送ってくれました。本当に有難いことです。
深夜聞いていると、文字通り耳の底に北の波涛の音が蘇ってきます。
さすが日本一のいずれ劣らぬ名演ばかりですが、中でも素晴らしいのが第41回(2003年)優勝の寺島絵里佳さん、44回(2006年)優勝の絵美さん姉妹の追分です。堂々とした、まさに横綱相撲といった感じの歌声です。
ジャケットを見ると、お姉さんが歌う時は妹さんが、妹さんが舞台に立つ時はお姉さんがソイ掛けを務めています。きっと合の手を入れる方のほうが、ヨリ緊張したのではないでしょうか。
寺島家にはもうひとり妹さんがおられるようですが、その方にもきっと大きな期待が掛けられているでしょうからさぞ大変だろう、などと余計なことまで考えてしまいました。
2010年1月22日 (金)
12月から1月上旬はパーティーや集まりの多い季節でした。先日、いくつかの国から建築関係の方が出席されていた会でこんな話になりました。「それぞれの国でNational Emblemと呼べる建物は何か」という話題でした。
本来「国の象徴」とはもっと観念的なもののことでしょうが、あえて建築物でそれを探してみるとどんなものになるか、という知的な(?)遊戯でした。
アメリカやヨーロッパだったら、象徴的建造物を探すのはそんなに難しくないかもしれません。イギリスならセントポールとかビッグベン。フランスなら凱旋門かヴェルサイユ。アメリカなら自由の女神とかワシントン・モニュメントとか。
アジアでも中国なら紫禁城は動かないところでしょうし、カンボジアは間違いなく「カンボジアの誇り・アンコールワット」でしょう。
しかし我が日本はとなると、万人が納得する「これが日本だ」という建造物がなかなか見当たりません。桂離宮はどうかと言う人もいましたが、現実にほとんど誰も入ったことのない建物を「代表選手」に推すのはどうかという気もします。東京タワーはあまりに近代的でしょう。
皇居、大阪城などといくつも候補が上がったあと、「法隆寺かなあ」という意見が大勢を占めました。私は「東大寺南大門」。あの重厚でいて颯爽とした姿に強く惹かれるのですが、大方の支持を獲得するには至りませんでした。
「いっそ富士山はどうだ」と言う人までいて、漱石の『三四郎』の冒頭で広田先生が「日本が自慢できるものは」としてこの山のことを挙げたところを思い出して、おかしくなってしまいました。