「必要から徳を作る」
2009年3月 5日 (木)
この前、久しぶりに長距離の飛行機に乗る機会があった。私は短距離のフライトの時は、下が見たいから窓際の席、国際線など長距離の時は手洗いのことを考えて、通路側を希望することにしている。その日は幸いaisleの席が取れて、これなら大丈夫と、安心してワインなどを口にしていた。
私の隣はアメリカ人の母子だった。食事が終わった頃から娘さんの様子がおかしくなった。気分が悪くなったらしく、フライト・アテンダントから薬をもらったりしていたが、そのうち洗面所に立つようになった。
2回目に席を立った後、私はお母さんに声をかけて、通路側の席を譲り、窓際に移動した。せっかく通路側の席だったのになあ、という思いは一瞬した。
そのうちお嬢さんの具合は良くなったらしく、通路側の席からはやがて笑い声も聞こえてくるようになった。ホッとしたのだろう、お母さんが私に感謝の言葉をかけてくれた。アメリカ人なら誰もがすることを若干ためらいながらしただけなのに、「あなたはジェントルマンだ」と、こちらが照れてしまうようなことまで言うのだ。
その時思い出したのが、昔どこかで聞いたfaire de necessite vertuという、フランス語の言葉だった。直訳すれば、「必要から(が)徳を作る」。どうせやらなければならないことなら積極的にやりなさい、という意味も込められているかもしれない。なるほど、あの言葉の意味はこういうことだったのだ。
ただ、徳というのはなかなかキビシイものだ。フライトの前半、いい調子でワインを飲みすぎたので、窓際に移った後は、「タンク」が満タンでしんどかった。

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